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大福茶 おおぶくちゃ
 京都では、古来より新年三賀日に、一年の邪気を払い新年を祝福するために、各々の湯呑に「小梅・昆布(結び昆布)・黒豆」等を入れ、大福茶を注ぎ、お屠蘇の前後に祝い服する風習があります。
 天歴五年、平安の都に悪病が流行した折、六波羅密寺の空也上人が深くこれを憂い、観音菩薩を作り車に乗せ自らこれを牽いて洛中を回られ、観音に供した茶を病者に施与されました。それが為に平癒した者が非常に多く、幾ばくもしない内に都から疫病が退散したと伝えられています。
 以後、この功徳にあやかる意味をもって、村上天皇は毎年元旦にお茶を服されましたのを、「王服茶」と呼び、皇服茶・大服茶等と発音し、何時しか縁起の良い「大福茶」となって、今日に至りました。
 元禄九年「本朝令鑑」によりますと
 本邦正月元旦鶏鳴に早起きし(中略)碾茶の中に梅干し一個入れて飲む。呼んで大福と称してこれを祝う。福服和訓通じ叶うの義なりこれ本邦王より庶民に至るまで歳初の佳例となす」
とのくだりが見受けられます。
 当舗では、上記碾茶の他に、ズバリ「大福茶」と呼ぶお茶をご用意いたしております。これは川柳の最上級品で、五年ほど前から一年を通じ商っております。勿論普通のお茶としてお楽しみ頂けます。